2020年05月19日 新着情報

多様な正社員(限定正社員)とは



 一般に多様な正社員(限定正社員)とは、いわゆる正社員(従来の正社員)と比べ、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員のことを指しており、次のように区分されます。


●勤務地限定正社員:勤務するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が一切ない正社員

●職務限定正社員:担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている正社員

●勤務時間限定正社員:所定労働時間がフルタイムではない、あるいは残業時間が免除されている正社員

※:「いわゆる」勤務地、職務、勤務時間がいずれも限定されていない正社員のことで「無限定正社員」ともいいます。


 多様な正社員に相当する働き方は、日本の労働者の約3割、組織単位でみれば約5割の企業で、既に存在するといいます(多様な形態による正社員に関する研究会報告書企業アンケート調査結果概要2012.3.28)。

 そして、このような形態は、従業員にとって満足度が高いことが同報告書従業員アンケート調査結果からも明らかです。

現状、正社員とそれ以外の労働者との間には処遇に大きな開きが存在し、この一点をとっても、正社員だというだけで満足度は高まります。

もちろん、職務や勤務地などに何らかの限定を設けている分、限定のない正社員より賃金は低くなりますが、それでも満足できているということは、「雇用形態」がいかに重要かということを示しています。

企業の側からすれば、多様な正社員制度を導入すれば、労働者を満足させつつコストを抑えることもできるわけです。

 さて、勤務地限定正社員は、厚生労働省を中心に進められている転勤に関する雇用管理の見直しの一環で、いわゆる正社員のオプションとして導入が勧められています。

一方で、非正規雇用労働者の場合、特定職務に就くために雇用されていることが多いと思われるため、職務限定正社員との親和性は高いのではないでしょうか。

 厚生労働省が公表している「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」は、職務給の観点から非正規雇用労働者の基本給を見直すことを示唆しており、そういう意味でも、正社員転換後は、「職務限定=ジョブ型」の雇用を検討するとよいでしょう。

 ちなみに、2019年4月から新たに設けられた「高度プロフェッショナル制」の対象労働者は、典型的な職務限定正社員です。

すなわち、職務限定正社員は次のように区分できるのではないでしょうか(大田肇『「承認欲求」の呪縛』を参考にしました)。


●スペシャリストタイプ:限られた限定の仕事だけをこなすタイプ
(モデル規則では「アソシエイト社員」と称した)

●プロフェッショナルタイプ:外部でも通用する汎用性の高い専門能力を駆使し、ある程度まとまった仕事をこなすタイプ


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